2026/07/07

レッテルと地方都市
何かとレッテルを貼られる地方都市ってあります。もっとも有名だろう都市の一つが福岡県北九州市の「修羅の国」です。「手りゅう弾が見つかった」やら「荒れる成人式」などと何かと取り沙汰され、ネット上では漫画『北斗の拳』に登場する殺戮まみれの「修羅の国」扱いをされるのですね。 あとは「大都会岡山」もあります。コレの元ネタは、徳島県出身ミュージシャンのアンジェラ・アキさんが、初めて岡山に来た際の感想を「岡山は高層ビルが多くて大都会」とテレビ番組出演時に言ったことにあります。四国と中国の都会っぷりの対比の意味と、岡山を敢えて「大都会(笑)」的に、大都会に住む人々が岡山を茶化す意味があります。アンジェラ・アキさんのほのぼのエピソードとして定着しました。 こうしたレッテル貼りがあるからこそ、外から初めて来た人はこのレッテルに沿った対応をします。北九州の小倉の繁華街を歩いていると朝から缶チューハイを飲んでいる人がいる。すると「うわっ、さすが修羅の国!」と言う。その人をアテンドする小倉の人はこの手の発言に慣れているのでしょう。こう言います。 「これが修羅の国の日常です」 岡山でも、少し高いビルがあったら「うわ、あのビル、あべのハルカス並に高い! さすが大都会岡山!」なんてことを外の人は言う。私はアンジェラ・アキさん発言以後岡山に行ったことはないので岡山市民の反応は分かりませんが、中には「エンパイヤステートビル級のビルもありますよ」なんてことを言う人もいたりして。 このレッテル貼りですが、このぐらいであれば軽口程度で実害はないのですが、次のようなレッテル貼りは自治体としても、そして住民も否定したり、実態を伝える必要があると思うんですよね。多くは冗談でしかないのですが、地元に誇りを持つ人からすれば、けっこう傷ついてしまうことがあります。 それこそ、福島第一原発事故の後、福島の人々が被ばくし、それがうつる、といった言われ方をしました。私が小学校5年生になった時、神奈川県川崎市から東京都立川市に引っ越したら、学校では「川崎病がうつるぞ」と言われた。あのぉ~、川崎病って川崎市で流行した病気ではなく、1967年に小児科医の川崎富作氏が発見した原因不明の全身性血管炎で、4歳児以下に多く発生したもの。 あとは、スパルタ教育で訓練中に死者も出した戸塚ヨットスクールは、横浜市戸塚区にあると思う人も多かった。実際は愛知県のヨットスクールで、校長の苗字が「戸塚」だったということです。戸塚区出身者は「いつも『あの戸塚ヨットスクールがある戸塚区ですね!』と言われてました」と微妙な表情を浮かべていました。 私が住む佐賀県ですが、九州の他県の人だけでなく、佐賀県民ですら「佐賀は何もない」と言いますし、こんな言い方をされます。 ・佐賀は福岡の属国 ・佐賀は長崎に行くまでの通過点 これって実際はかなり根深い問題で、長崎新幹線をめぐっては佐賀県民は複雑な気持ちを抱いています。「なんで我々にとってメリットないのに負担金を出さなくてはいけないの?」と。普段から「何もない」とレッテルを貼られていたがために、本来鉄道という他県と協力し合わなくてはいけないことすら、反対してしまう。 レッテル貼りというものは、こうした実害ももたらすため、安易にやってはいけないもの。皆さんの自治体でもこうしたいわれなきレッテル貼り、ありませんか? 多少は問題視してもいいかもしれません。


