2026/07/30

歴史学者が地域にもたらすもの
当連載は地域活性化や地方創生を推進することを狙いとしていますが、運営元のポニーキャニオンは、歴史学者・平山優さんのマネジメントもしています。これを不思議と思う人もいるかもしれませんが、同社がエンタメコンテンツを活用した地域活性化事業をしているからです。そこに歴史学者はうまくハマるのですね。 平山さんは様々な歴史関連のイベントに登場しますが、それだけ歴史に関心のある人が多いことの証左。現在私が住んでいる佐賀県唐津市は、豊臣秀吉の朝鮮出兵の拠点だった名護屋城の所在地ですが、平山さんは名護屋城関連のイベントに登場するほか、佐賀新聞でも名護屋城関連の考察を執筆するコラムを連載中です。 こうした専門家は非常に地元からは歓迎されます。何しろ「我々の誇りを研究してくださったうえに、情報発信をしてくれてありがたい」と考えるからですね。平山さんは、城郭考古学者の千田嘉博さんと「前田利家陣跡は陣、というよりは城の規模であった」と記者発表会で発言し、これがメディアでは大きなニュースとなりました。 こうしたことから、名護屋城や前田利家陣跡に行ってみたいと考える人が各地に誕生した場合の経済効果は大きなものになります。地域活性化で外部の人を活用するケースは多々あるでしょう。その場合は当地に何らかのゆかりがあるスポーツ選手、芸能人、ミュージシャンなどとなりますが、それはあくまでも「その場で仕事をするだけ」の話なんですよね。あとは、特にゆかりはないものの「人気者だから」とYouTuberを誘致するのも同じことです。 歴史学者であれば、今後の研究のために自治体が様々な資料を提供したり取材をアレンジしたりすることが可能となり、持続的な現地訪問が可能となります。新しいものを発見した場合は、その都度情報発信をしてくれることでしょう。だからこそ歴史学者は地域活性化において重要な存在だと平山さんの活動を見て理解できました。 だったら他にどんな人を情報発信の起点とするか。それは、SNSを見て、その土地を訪れる影響力のある人を見つければいいです。私の住む唐津で恐縮ですが、九州プロレス所属のTAJIRI選手はそれに当てはまる人物です。 世界最大のプロレス団体・WWEで大人気となり、世界中から参戦オファーを受けるほか、指導もお願いされるようなレジェンドレスラーです。同氏は現在は福岡を拠点としていますが、オフになるとフラリと唐津へやってきて、海で缶チューハイを飲みながらのんびりとした時間を過ごしています。このことはXでも書いているほか、自著ではいずれ唐津に移住する、といった記述もありました。 いきなり「案件」としてまったく関係がない人をその人の知名度と人気ありきでカネを払って仕事をしてもらうよりも、自発的にその街のことを発信してくれる「本当に好きな人・興味がある人」を見つけることが重要なのではないでしょうか。 唐津市としては、平山さんとTAJIRI選手をもっと重要視するのが得策でしょうし、他の自治体にもそのような存在がいることでしょう。安易に人気者に仕事を発注するのではなく、関心のある人に対し、ネタとなるものを適宜提供する関係性を築くことが肝要です。


