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戦う歴史学者平山 優

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2024/07/17

データからの考察

中川淳一郎

長崎県五島市の移住定住促進サイトに、「地域活性化はなぜ必要?成功に必要なポイントと5つの自治体の成功例」というページがあります。その中には「地域活性化を成功させるために必要な3つのポイント」もあり、以下3点が指摘されました。

https://www.city.goto.nagasaki.jp/iju/220/015/20230828091756.html

 

・今ある地域の資源や特徴を活かす

・長期に渡って持続可能な内容を考える

・地域の人々を巻き込んで、たくさんの地域住人が参加できること

 

これに加えて必要なものを私なりに考えたら、こうなりました。

 

・宿泊施設不足解消

・立派なHPや高い紙を使ったパンフレットを作らない。要は気負わない

・参加したくない地元の人には無理強いしない。その人は平穏な生活を求めている

 

宿泊施設は旅の肝ともいえるものです。2つ目については、プロジェクトが開始すると最初は皆やる気が高いため、本気で立派なHPを作ったりするのですが、途中から更新が滞り、最新情報が1年半前のものになったりする。TikTokのような動画も頻繁に更新するのは大変なため、持続可能性のためにもXとインスタグラムだけに特化する、でOKです。

 

3つ目については、地元によそ者が来るよりは、平穏にそれまで通り暮らしたいと考える人がかなりの割合でいることを受けてのものです。その人達の気分を害するのは得策とはいえません。

 

あとはデータの分析も重要だと思いました。今年1月、私は一般社団法人「VISITSAGA」(佐賀県唐津市)が、2013年10~11月に実施した1021人を対象とした、唐津を訪れた観光客アンケート調査の発表会に参加しました。

 

交通手段は車が60.2%、電車が22.0%、レンタカーが9.3%、バスが4.2%、その他が4.3%。滞在日数は日帰りが52.8%、2日が28.5%、3日が10.1%、4日以上が8.6%

 

検索ワードは「唐津くんち」「呼子のイカ」「唐津」「唐津城」「唐津焼」の順番でした。そのうえで、同法人の分析を佐賀新聞の記事から引用します。

 

〈同法人のメンバーは「宿泊の満足度は、年齢に限らず女性の観点で比較的低く、対照的に高いのは食事だった」と説明。訪問回数は8回以上の人が半数ほどを占めた。約940人による文章回答を解析すると、交通の便や案内不足が課題で、唐津くんちでは駐車場やトイレの不足、情報の充実が求められているという。〉

 

確かにこれって的確な分析だな、と住んでいる身としても感じるんですよね。ここで特筆すべきは「訪問回数は8回以上の人が半数ほどを占めた」です。リピーターになってくれているわけですが、何度も唐津城を登るわけでもないわけで、これは「食事」「人」「唐津焼(体験・購入)」が多いのかな、と感じました。

 

花火大会の時は渋滞も経験しましたし、50万人が訪れた唐津くんちの時は同法人の報告通り、駐車場とトイレは足りないと感じました。駐車場を中心街に新たに作るのは大変なものの、簡易トイレの導入を進めるのは必要かもしれません。最近、週刊誌で「被災地から世界に 汚泥ゼロ“永久トイレ”」という記事を読みました。能登半島地震被災地に提供された「A.Qトイレ」の説明はこうあります。

 

〈微生物の働きで汚水を浄化し、洗浄水へとリサイクルできるだけでなく、し尿の悪臭はもちろん、汚泥さえまったく残らず、除去の必要がない世界で初めての完全な循環型トイレ〉

 

このトイレが各地のキャンプ場や講演、リニアモーターカーのトンネル掘削工事現場等で利用されており、イスラム教の聖地・メッカやトルコ地震の被災地からも設置の打診があったといいます。データを見ることで、観光客が真に求めていることは分かるものですね。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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