2021/12/16
取材フレンドリーであれ!
2020年11月1日に東京から佐賀県唐津市に引っ越したライター・編集者の私ですが、相変わらずこの業務は続けています。当然佐賀県内や福岡県内の会社・店に取材依頼をすることはあるのですが、これが「地方あるある」なんですよね……。
「……」と書いているということは、「あまりよろしくないのではないでしょうか」という意識が込められているわけです。これが一体なにかといえば、「地方の企業・店舗は取材に慣れていない」ということです。いや、むしろ「取材」を名乗る人間に対する警戒感が強すぎる、ということです。これは日本全体を通じてそうです。マスコミ不信があるのだとは思いますが、コロナについては「東京はヤバいです!」「マスクは2重にしましょう!」「オミクロン株はヤバいです!」みたいに東京のマスコミが言うことを盲信し過ぎているのに、実際にマスコミから取材依頼を受けたらそこまで警戒するの? と思うのです。
慣れていないこと自体はいいのですが、「地元の商売だけで十分だし忙しい」という考えだとその地域全体としての活性化に繋がらないんですよね。「ウチは儲かってるからいい」という企業・店舗が地方は多いような気がします。
何しろ、ガイドブックにも出ているし、「食べログ」とかでも上位に来ている。東京を含めた「中央」のメディアはそういった店にまずは取材依頼をするわけです。彼ら、全然情報源なくて、基本は「食べログ上位の店」を基準にしてますんで。
そうすると、なんらかの大きなイベントがある○○市に関し、「〇〇市のおいしい店10選」みたいな企画を彼らは繰り出します。そうなった場合、取材慣れしていない店以外が対応をすることになるのですが、とにかく警戒心が強すぎる。
とにかくメディアのことを「広告を押し付ける存在」と思っているんですよ。ほとんどの場合、「代表がいない」「オーナーがいない」という返事が来て「15分後には帰ってくる」「夕方には…」「明日はいると思う」といった返事をされるのですが、その指定通りに取材依頼をしても「まだいないんです~」がここから3連発!
取材する側の勝手な要求なのは分かりますが、こちらとしても「地方活性化の一助となりたい」と考えて、丁寧に取材依頼をしているんですよ。それなのに、「知らないヤツから電話が来た」といった考えでとにかく逃げ回ることが余りにも多過ぎます。
これはもちろん東京でも発生する現象で、あまり取材を受けていないものの、自分にとっては最高の店に連絡をすると「間に合ってるんだよ、この野郎!」なんてガシャッと電話を切られてしまうことがあります。どうも、「ウチのメディアに広告を出しませんか?」という営業電話だと思ってしまっているんですよね。
こちらは「西荻窪のおいしいイタリアンのお店」だの「新宿の知られざる名店」といった特集を作りたいので、知名度の低い、ただし通が行く店を取材しようとするのですが警戒をされてしまう。
こうした経験をすると、メディアの中では「あの店は対応をしてくれないから連絡しない方がいいよ」といった評判が回り、結局取材をされないことになります。別に取材されないでもウチは構わん! というのであればいいのですが、案外取材を受けたり、SNSでユーザーがホメたりすることで店にとって良いことってけっこうあるんですよ。
それこそ、東京のスリランカカレーの店主が、たどたどしい日本語で客が来ないことをツイッターで嘆いていたら一瞬にして「この店を応援しよう!」と行列ができる事態になったこともあります。
基本的に「わざわざ連絡してくる人はあなたにとっては好意的である」ということに加え、「そういった好意的な人に対して邪険に扱うとその人はアンチに転じる」というリスクがあることを地方の施設・店の方は覚えておいてください。ただし、広告狙いの業者もいますので「それって広告ですか? 普通の取材ですか?」は聞いてください。
そして「お前らを紹介してやるからタダで料理出せよ!」的な態度のバカメディアもいますので、取材に来たメディアからは注文した分はキチンとお金を取ってください。それが「ステマ」(ステルスマーケティング=広告なのに広告でないと隠すこと)扱いを避ける重要ポイントです。