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戦う歴史学者平山 優

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2023/04/19

ニッポンの〇〇

中川淳一郎

「日本の〇〇」って表現することありますよね。たとえば、「日本のマチュピチュ」と呼ばれるのは岐阜県恵那町の岩村城、大分県宇佐市院内町西椎屋の風景、兵庫県朝来市和田山町の竹田城などがあります。

 

他にも「〇〇のウユニ湖」やら、「日本のヴェネチア」といった表現はあるわけで、こうしたキャッチコピーが多くの人を惹きつけます。そもそも「小江戸××」やら「〇〇銀座」というものは各所に存在したわけであり、各観光地やら商店街が勝手に言い始めた、定着したわけです。もちろんその土地を訪れた権威ある人がそう言ったのかもしれませんが。

 

ただ「〇〇銀座」は安易に使われ過ぎたな、と思うことはあります。私の地元・東京都立川市には「栄町銀座商店街」がありますが、1980年代はまだしも、今やシャッターだらけの寂れた商店街です。いやぁ、1980年代は文具店やら多数の駄菓子屋があって活気があったのですが。「栄町銀座」と書かれた立派なアーチが今となっては哀愁漂いまくりです。

 

これを「銀座」と呼ぶことは銀座の人々からすれば「やめてくれ」と言いたくなるのは間違いない。となると自然環境をベースとした以外の「〇〇の××」はやめるべきでは、とも思うのですね。「〇〇のマチュピチュ」の多くは歴史遺産や自然環境によってそのように名づけられました。しかし「銀座」はその商店街等が衰退してしまえば、そう言うのが恥ずかしくなる。しかし、一度名付けてしまった以上撤回はできず、その名前を維持し続ければならない。

 

こうなると「寒い」空気感しか漂わなくなるので、何らかのネーミングを商店街なりそのエリアがつける場合は、大風呂敷を広げない方がいいと思います。そんな中、私のいる佐賀県唐津市については、唐津城が唐津湾を臨む丘の上に建っていることもあり、「日本のモンサンミッシェル」と言っても多分問題はなさそうです。

 


 

それは唐津自体の観光資源的実力があるのに加え、その象徴として「なんとなく納得できる」キャッチフレーズになっているからですね。唐津城はそのぐらいの実力はある。だから、社会が認める程度の風呂敷を広げて「〇〇の××」は言うべきなんですよ。大風呂敷を広げ過ぎると「がっかり観光地」認定されるのがネット時代の常。

 

たとえば、奇岩が並ぶ山口県の秋吉台は「日本のカッパドキア」であれば納得感があります。唐津の七ツ釜も「日本のハロン湾」であれば、「確かに」となります。ハロン湾とはベトナムの世界遺産のことですね。そこで大事なのは大袈裟にやらないことです。

 

私は現在タイ・バンコクにいますが、運河が水運の役割を担っていることもあり「東洋のベニス」と呼ばれることもありますが、さすがにそれは違うのでは……と爆音をあげて走る水上バスとドブ水のような運河を見て思います。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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