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2023/09/12

祖父母に会いに行く、ということ

中川淳一郎

2020年から散々「おじいちゃん、おばあちゃんを新型コロナウイルス感染から守るために帰省はやめましょう。行くならマスクをしましょう」というアナウンスが政治家や医者やメディアからありましたが、この2年間、私は「おじいちゃんおばあちゃん」の家にお盆や帰省を含め、毎度行かせてもらいました。とはいっても、自分の実家ではない。自分の実家にはもう5年以上帰っていません。父親と相性が悪いので。

 

最近では佐賀県唐津市の友人・山崎幸治さん(49)の家に親戚の会合に行きました。子供達もたくさんいて、全員合わせれば25人ぐらいはいたのではないでしょうか。巨大な邸宅のため、いくらでも人が入れるし、山もある。田舎の農家ってそれだけ多くの人が楽しめる場所です。そんな状況に私と妻だけが「非親戚」という状況。それでも歓待してくれて非常に嬉しかったです。

 

さて、そろそろ地域活性化のためには「おじいちゃん、おばあちゃんを新型コロナウイルス感染から守るために帰省はやめましょう。行くならマスクをしましょう」はもうやめた方がいいのではないでしょうか。

 

何しろ、山崎家には2022年1月から何度も行き、「おじいちゃん、おばあちゃん」とは延べ200人ぐらいの人とこれらの会合に参加していますが、常に「よぉ来たね」と歓待してくれるし、マスクをしている人なんていない。2022年の春のタケノコ堀りの時、山崎さんの福岡の親戚の一人がマスクをしていたら山崎さんは「その口と鼻を覆う白い布、福岡で流行りよると?」と大ボケを放つ状況に。

 

2022年1月から「高齢者」である山崎さんのご両親やそのきょうだいの皆さんと会いましたが、誰もコロナ感染しませんし、亡くなりません。入院もしません。それなのに相変わらずテレビに出てくる専門家は「おじいちゃん、おばあちゃんを新型コロナウイルス感染から守るために行くならマスクをしましょう」を言い続ける。

 

あのさ、おじいちゃん、おばあちゃんはあと何年後に亡くなるか分からないんですよ? 愛する子供や孫を、いつまでおじいちゃん、おばあちゃんから遠ざけるのですか?

 

この3年半、日本は「コロナ感染しなければそれが一番の幸せ。不要不急の外出は控え、感染対策を徹底し、大切な命を守りましょう。県をまたぐ移動はやめましょう」を徹底しました。

 

あのぉ~、こんな人生、楽しいですか? 地方都市って高齢化が進行していて、子供や若者が帰省や観光で来てこそ活性化するものです。それなのにこの国はこの3年半、徹底して「地方に来るな!」とやり続けた。それなのに各地方都市は「地方から日本を元気に!」なんて空虚なスローガンを言い続けた。

 

無理です。地方は都会の力を借りなくては活性化もできないし元気にもなりません。とにかく地方が今大事なのは、新型コロナウイルスとされたウイルスと感染対策を住民にも、そして外部から来る人にも押し付けないことです。「我が自治体は高齢化率が高いので……」と思うでしょうが、その高齢者の幸せを奪いたいんですか? かたくなにならず、もう日常に戻りましょう。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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