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2024/01/15

地方都市の、新店オープンについて

中川淳一郎

地方都市の飲食関連の「空き物件」情報をよく聞きます。それまで営業していた店主が高齢で続けられない。新型コロナウイルスで外食需要が落ち込み、そのまま人々が外食しない習慣になった――。そんな理由が挙げられます。

 

地方の場合、突然一等地にヨソ者が入ってくると警戒されることはあるものの、公式にい抜き営業の広告を出していたり、有力者からの紹介だったら案外その店を別業態で経営させてもらえる可能性はあります。そして、新たにオープンした店が流行れば、街は活性化する。よって、店の継続が難しい場合は思い切ってその場を継いでくれる人を見つけるのがいいと思います。

 

役所の移住促進や産業振興関連の部署の人も、コレは積極的に取り組んだ方がいい。その理由は、地方都市って新規オープンの店がとかく注目されるからです。その街に初めてスターバックスコーヒー等のチェーン店ができたら初日は行列ができたりしますが、チェーン店でなくても口コミで「〇〇町に新しい中華の店ができたらしいよ」といった情報は一気に広がります。

 

競争が激しい大都会であれば、頻繁に店が変わるうえに、選択肢が多いため、新しい店ができたからといっていちいち行きはしません。「いつか行こうかな」なんて思っていても、イザ行ってみたら潰れていた、なんてこともある。

 

先日、私が済む佐賀県唐津市にスペインバル風の店ができたのですが、オープン直前から多くの人がその情報を知っている。オープンから数日すれば知り合いの中に行った人がいて「あそこはおいしいよ」「あそこの店主は明るくていいね」みたいな話をしています。80歳手前と思われる男性は飲み屋で時々会う方なのですが、その人と商店街ですれ違った時に「この店、この前行きましたけどおいしかったですよ」なんて言われ、私も近々行く気になりました。

 

地方都市では新店オープンは一大事なのです。それだけ住民は関心があるし、まずは一度行ってみたいと考えます。さらに、地元の新聞支局が「新店オープン」みたいな記事を出してくれたりもします。何しろ記者だって新規ネタであれば食いつきたいので。

 

そうしたことを考えると、都会も地方も一般的な店(高級店ではない、という意味)の価格はそれほど変わらないわけで、味と接客に自信のある飲食店経営者は地方で勝負をしてもいいのでは、と思うのですね。

 

居酒屋の定番メニュー・フライドポテトだって、日本の中では400円~550円程の幅でしょう。家賃も考えると、地方の400円と都会の550円はあまり違いはない。地方だって550円で出してもいい。

 

さらに、一つの店でさばける客数は都会だろうが地方だろうが変わりません。となれば、競争がよりラクな地方で開店から閉店までそこそこ客が入るような店を経営した方が儲かるのではないでしょうか。

 

ただし、一度目の来訪で悪評を立てられてしまったらその店は終わり、というリスクはあります。だからこそ万難を排して初日のオープンをすべきですが、腕と接客力に自信がある人は支店でもいいので地方都市で一発勝負をかけるのも良い選択だと思います。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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