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2024/08/13

気温PRってありじゃね?

中川淳一郎

今年も猛暑が続いていますが、「日本一暑い」をウリにする自治体がありますね。こうした自治体は駅前に「日本一暑い街」などと書いたうえで、気温計を設置しています。テレビのニュースでは「40℃超えましたね~」なんて嬉しそうな市民の姿が映ります。以前41℃を記録した高知県四万十市では、カキ氷を41円で提供する店も登場。本来は不快指数が高いものをなんとかPRと商売に繋げようというたくましいやり口です。

 

元々は山形市が1933年に記録した40.8℃が日本一を74年間守っていましたが、昨今40℃超はかなり多い。7月29日は全国6か所で40℃超を記録。歴代最高の41.1℃に迫ったのは40.0℃の栃木県佐野市。群馬県館林市は40.2℃、静岡県浜松市は40.2℃、群馬県伊勢崎市は40.1℃、埼玉県熊谷市は40.0℃、茨城県古河市は40.0℃です。

 

歴代1位は41.1℃の浜松市(2020年8月17日)と埼玉県熊谷市(2018年7月23日)です。そして、山形市の記録を破ったのは20007年8月16日の岐阜県多治見市。

 

とはいっても、「暑さ」をウリにするよりも「涼しさ」の方が本当はいいですよね(笑)。7月上旬、ネットで話題になったのが、沖縄を除いた全都道府県が真っ赤で沖縄だけが白い地図です。これは、昨年37℃超を記録した都道府県を表しているのですが、暑いイメージのある沖縄が実は涼しい、ということで驚かれました。「沖縄で避暑」なんてキャンペーンもいいかもしれませんね。

 

あとは、最近移住先として人気の千葉県勝浦市が涼しいと評判です。2022年、全国的に猛暑になった6月下旬から、気象庁が発表した7月5日まで一度も30℃を超えなかったのです。NHKも「最高気温が35℃を超えない町」と昨年は表現していました。北海道も北の方はさておき、札幌を含めた南側はかなり暑いです。今こそ沖縄と勝浦は「涼しい」を大々的に謳っても良いのではないでしょうか。

 

あとは山もそうですね。昔、槍ヶ岳や穂高など3000m超の山に登っていましたが、とにかく涼しい! 夜~早朝にかけては寒いぐらいです。ただただ「涼しい」だけをウリに標高の高い場所にある宿がワーケーションプランを打ち出したら仕事の効率はかなり上がるのではないでしょうか。「冷房いらずで自然の風が入ってきます」なんて魅力的ではないですか。

 

この「気温PR」の成功例がやはり沖縄なんですよね。厳しい日本の冬ですが、沖縄だけは唯一温暖です。だからこそプロ野球は沖縄で2月にキャンプを張る。宮崎県でもキャンプは張られていますが、宮崎市の2月の平均気温は8.6℃で最高気温は13.8℃。他の地域と比べれば暖かいですが、沖縄県名護市の最高気温20℃、最低気温13℃と比べると寒いです。そうした実態から、やはり「冬に行くなら沖縄!」ということになりました。昨今SNSに写真を投稿するようになっていますが、青い海に入っている写真を撮影すれば、「2月に泳ぐの初めて!」なんてひと言を添えればその楽しさは伝わるでしょう。

 

各自治体は「気温PR」「天候PR」、なんかできそうじゃないですかね? 「強風の街」はさすがに無理かな……。「寒過ぎて雪の結晶が見える街」だったらアリか。あ、でもアメリカのシカゴのあだ名は「Windy city」です。強風が売りなのですが、冬が寒いんだわ、コレが。体感温度-30℃にはいきます。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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