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2025/12/01

異常な都会、余裕の地方

中川淳一郎

移住を促進したいと考える自治体には関連の部署を設けていますが、一旦様々なことを整理した方がいいのかな、と思うこともあります。それは、「いいところですよ!」「子育てしやすいですよ!」をアピールし続けることに加え、他の要素も提示することです。仕事が都会ほどはキツくない、ということです。

 

時に「高圧ホースを同僚の尻に刺し、水を出して殺してしまった」といった地方発のニュースがあります。これは完璧な「いじめ」「パワハラ」いや、「暴力」「殺人」ですが、こうした行為を行う者は極レアケースのとんでもない人物です。

 

そうはいってもこうしたニュースを見ると「地方の企業は怖い……」なんて思うことはあるでしょう。しかし、東京に行った時、オフィス街(東京駅・汐留・赤坂・渋谷)に行った場合、煌々とライトが灯る高層オフィスビルを見ても私はかなり怖くなります。何しろ、23時を過ぎても、過剰労働でメディア沙汰になったことがあるような企業は、ビル内の電気が4分の3ほどのフロアで点いている。

 

こんな時間まで残業している人がそれなりにいるということです。私もこうした会社に勤めていましたが、朝2時になっても電気は点いている。コンビニに夜食を買いに行った帰り、「みんなまだ働いているのか……」なんて思ったことも多かったです。さらに「3時に〇〇さん(大御所)が戻ってくるからそこから打ち合わせをしよう」なんて平気で言われることもあった。

 

知り合いの某大企業は、水曜日は「ノー残業デー」で、19時を過ぎると会社を全員出なくてはいけませんでした。そこで、19時になると、一旦外に出ます。そこから警備員が見回りに来て人がいないのを確認する。20時にもなると見回りが終わるので、そこから先は電気をつけず、パソコンの画面の明かりを頼りに仕事をするのです。

 

こうしたビルは今、私が住んでいる地方都市では見ることはありません。多分、プライベートや家族の時間をぶち壊してまでも長時間労働をしたい、という感覚を地方の人々はあまり持っていないのでは。「休日出勤」という言葉もあまり聞きません。

 

都会の人だって、1960年代~90年代前半の「モーレツ社員」やら「24時間戦えますか」の感覚はもう嫌な人も多いはず。しかし、一部の経営層やら上司はこれらの風潮を押し付ける。

 

これが都会なんですよ。「もう少し余裕のある働き方をしたい」と考える労働者も案外多いはずなので、各県・各市町村は「平均残業時間」の数値を集計し、公表してはいかがでしょうか。昨今賃金も上がり始めています。そう考えると、残業代を過度に頼らないでも生活は成り立つようになる。もちろん物価の伸びに追いついていない可能性はあるものの、1日の半分以上を仕事に費やすような生活を続けたくない人は地方の方が労働時間を減らせられるかもしれません。

 

そうなる理由は、納期も含め、地方の方が余裕をもって設定しているんですよね。残業をしない前提で働いているから、少しでも「遅い!」と感じたら電話で催促をして、残業にならないようにする。だから、夜になるとそこまで仕事の電話は来なくなるし、土日に約束をした場合は、ドタキャンもない。平日の飲み会にしても、遅れてくる人はあまりいないばかりか、18時台の開始が多い。都会では19時か20時台の開始が普通のような感覚ですが、そうではない。

 

誰もがモーレツに働きたいわけではないですし、仕事にすべてを捧げたいわけではなく、あくまでも生活を成り立たせてそれでいて社会の役に立つことをやりたいと考える人の方が世の中には多いのではないでしょうか。そういった考えの人は地方都市で働く方が快適かもしれません。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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