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2021/06/24

まともな人間は地方移住したら友人が続々やってくる、「思い出してもらえる人生」を送ろう

中川淳一郎

中川淳一郎佐賀唐津移住

東京から佐賀県唐津市に引っ越した。2020年11月1日のことだ。

 

 

良かった。

 

なんで良かったのかを本稿では言う。

 

私は47歳男。ネットニュースの編集をひたすらし続けた東京で過ごしたお陰で本当にいい思いをできた。黎明期からネットでニュースを編集する、という業務につけたから先行者利益を得られたのだ。今、唐津で「セミリタイア」生活を過ごせているのも、東京でかなり稼げたからである。本当にカネが渦巻くのは東京であることは分かっている。

 

そんな状況を1997年の博報堂入社から退職までの2001年、以後フリーライターになった今までは散々経験したが、やっぱりある程度社会から認められた人間としては地方に住む方が幸せかな、とも思う日々を過ごしている。

 

さて、地方は何がいいのか。そして、佐賀県・唐津市は何がいいのかを書く。

 

まず、本当に人々が呑気なのがいい。会う人会う人、本当に呑気なのだ。「いやー! 今度飲みましょうね!」なんて言ってくれるが、都会では「今度」というのは社交辞令なのだが、本当に「今度」が来てくれるのだ。なんかしらかの手段できちんと「今度」が来るのが唐津市なのだ。

 

だからこそ、仕事をいただくこともあれば、別の面白い人を紹介してもらうこともある。これまで「佐賀県」という場所は一切イメージがなかった。だが、実際に住んでみたり、東京時代の友人と一緒に佐賀県内を回ると本当に面白い場所があるし、全員が満足して東京に帰る。

 

釣りができるし、唐津くんちをはじめとした文化が根付いているし、唐津城とビーチの組み合わせは天下の絶景である。そして交通の便がいい。福岡までは回数券を買えば680円の高速バスで1時間15分程で着く。東京までは片道4時間ほどだ。我ながら良い街を見つけたと思った。

 

私自身も元々は佐賀に縁はなかった。だが、実際に住んでみるとかなり愉快なのである。もしかしたら鳥取や島根、徳島、岩手でも同じだったかもしれないがここでは「佐賀は案外快適」ということに絞って書いていく。

 

その大きな理由は、私がいるからわざわざ東京から来てくれる人々が本当に佐賀県を楽しんでくれることにある。それは前述したように交通の便が意外に良いことも理由だろう。こうした方々がいるため、私の地元・唐津市の名料理店での美食を楽しむほか、数々の観光地を楽しんでいる。それは佐賀市、嬉野市、有田町、伊万里市、唐津の離れ島など多岐にわたる。

 

 

正直、東京にいた時にこのようなことができたかといえば絶対にない。あくまでも私が佐賀県にいるからこそ人々が訪れてくれるのだ。仲の良いコピーライターのこやま淳子さんは昨年12月に佐賀に来てくれたがかなり唐津を気に入ってくれて、先日もなんと5泊6日を唐津で過ごした。

 

途中、唐津市内の離島に泊まったりもしたのだが、最終日は「帰りたくないなぁ~」と言い、なんと8月にも再び3泊4日で来ることになった。そこまで佐賀を気に入ってくれたのだ。さらには、私が毎年講師をしていたPRパーソン養成受講生も6月に佐賀に来てくれることになった。ツイッターで知り合った福岡在住者も「唐津の屋台で中川さんと飲みたいです!」と言ってくれ、実際に来てくれた。

 

 

夫が熊本・阿蘇のマラソン大会に出場するためついてきた女性は、地図を見て「あっ、中川さんがいる佐賀って熊本から意外と近い」と唐津まで来てくれ、ジョッキのビールを飲みながら「東京では飲めないから幸せ~!」と言い、この街を気に入り「また来ます!」と帰っていった。

 

福岡に出張に来た知り合いも1泊延長して唐津まで来てくれる例もある。俄然、私の周囲では「佐賀ブーム」「唐津ブーム」が到来しているのである。

 

多分、ここらへんに地方活性化のヒントがあるのでは。今の時代、SNSもあるため、とある土地を訪れた人が「初めて来たけど、すごくいい場所だ!」などと書くことも多いだろう。それが連鎖し、いつか行ってみるか、となる。その際、大事なのはそこに住む都会出身の人間の存在である。

 

これまでわざわざ佐賀まで来てくれた私の知人は誰一人として佐賀に興味を持っていなかった。だが、私がいるというだけの理由だけで「中川さん、なんか佐賀で楽しそうにしてるから行ってみるか♪」という気持ちで来てくれる。これを日々実感するから「あぁ、まともな人生を送ってきたその結果だな。オレは幸せだなぁ」としみじみとしてしまうのである。

 

アニメやドラマ等の「聖地巡礼」は一つの地方活性化の手段だが、移住者増加の促進ももう一つの手段としてかなり有効なのではないか。今はコロナ禍で県外への移動を躊躇する人も多いが、潮目が変わったところで地方に移住した友人を訪ねて多くの人が移動を開始することだろう。

 

そんな日々が訪れることを楽しみに、今日も私は唐津で原稿を書きながら細々と生きている。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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