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2022/02/01

ノイズでしかない、東京情報

中川淳一郎

中川淳一郎

東京にいた頃は身近だと思っていたのですが、佐賀県唐津市にいる今、テレビが取り扱うネタがかなり他人事になってしまいました。それと同時に「なぜ、地方の人は皆テレビをこんなに見るんだ?」とも思います。

 

現在見る番組はNHKのニュース(全国・九州北部・佐賀)と『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系)のみです。大阪は独自の番組が多く、札幌・名古屋・福岡もそこそこ多いですが、その他の地域は基本的には東京のキー局発の番組を見ることになります。

 

東京・日本橋のマグロ食べ放題の店を紹介されたり、東京・八王子で雪が降ったことなどを放送されても「関係ねぇ~……」と思ってしまうのです。この2年間続くコロナ騒動でも、東京の陽性者数・東京の対応・東京の人々の街頭インタビューといったことが連日放送されてきましたが、これも同様に「関係ねぇ~……」と醒めた目で見ていた自分がいます。

 

そのうえで、結局東京の状況が地方にも伝播し、「自粛警察」「他県ナンバー狩り」などに加え、実家の親が都会の息子・娘に対して「絶対に帰省するな」なんて伝える事態になってしまいました。

 

 

 

 

私は中学・高校はアメリカに住んでいたのですが、アメリカにはいわゆる「全国紙」はUSA TODAYという新聞はあったものの、基本、購読するのは地方新聞です。テレビもCNNや3大ネットワークのような全国放送はあるものの、地元の州とその周辺のテレビ局がその州内の話題に関連した番組を放送している。だからこそ私がいたイリノイ州では、MLBではシカゴ・カブス、シカゴ・ホワイトソックスの試合を見られました。NBAではシカゴ・ブルズ一択、NFLはシカゴ・ベアーズ、NHLはシカゴ・ブラックホークスの試合です。

 

その他スポーツや映画の専門チャンネル、MTVのような音楽専門チャンネルがケーブルテレビで全国に流れていました。これらは自分の地元ではない情報を得るために必要なチャンネルです。

 

こうした棲み分けができていたのですが、とにかく日本は全国で「東京情報」を浴びさせ続けられている。これは正直、変えた方がいいと思います。だって、東京の情報、地方では意味ないんですもん。

 

 

 

 

私が唐津に来てから1年3ヶ月、東京情報は邪魔でした。東京に毎月1回行くためそのための空気感を知るためには大事でしたが、唐津にいる時は正直「ノイズ」でしかありません。だからもはやテレビを見ることはなくなり、新聞も地元・佐賀新聞を購読している。

 

ネットについては元々県境とかは関係ないですが、自ら読みたいコンテンツを読むよう選べるのでこれは問題ありません。しかし、容赦なく入ってくる「自分とは関係ない情報」を地方の人は惰性で見させられている現状があります。それに右往左往させられている。

 

だからこそ、私は佐賀が拠点なだけに完全に東京関連の情報は不要だと考えます。佐賀新聞には、死亡欄と子供達の誕生欄・誕生日欄があり、今の時期は高校生の今後の進路に関する紹介があります。

 

地元の人にとっては、こちらの情報の方がよっぽど重要なんですよ。先日、商店街の店で、赤ちゃん誕生のお祝いについて電話をしている店主がいました。その脇には佐賀新聞の誕生欄があります。「こちらの相手してくれよ」と思うものの、彼にとっては赤ちゃんの誕生の方が大事。

 

多分、この感覚こそ地方には重要で、地方を活性化させようとする都会モンがやってきていくらコンサルをしても、結局は都会視点なんですよね。一応、東京発のテレビは見るものの、東京をはじめとした都会からやってきた人のコンサルはまったく役には立たないことが多いことは都会の人は理解した方がいいと思います。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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