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2022/02/20

アクセスの良さ+金額情報

中川淳一郎

中川淳一郎

各地方が観光客や移住者を増やすために必要なのは「アクセスの良さ」をアピールすることが一つでしょう。結局、地方だけでは雇用や教育を提供するのは難しいわけで、あくまでもその地元をベッドタウンとし、大都市に通勤・通学している人が多いのです。

 

アクセスが悪ければ毎日通えるわけがありません。地元の人々はアクセスの良さを知っているものの、別の地域に住む人はその事実を知らない。奈良県であれば、大阪へのアクセスが良く、奈良駅発であれば、大阪駅と京都駅まで1時間以内で行けます。和歌山・大阪だと若干大変で1時間半。

 

私はサラリーマン時代、JR中央線の立川駅からJR山手線の田町駅まで通っていました。家から駅までは、自転車に10分乗り、駅から徒歩10分の叔父のマンションの駐輪場に停めていました。或いは、バス停まで徒歩8分、そこから渋滞の中15分ほど乗って駅へ。朝の通勤列車はダイヤ通りに行かないこともあり、ドアトゥドアで1時間40分かかっていました。しかも、朝の中央線の悶絶っぷりったらもう一生乗りたくないレベルです。

 

東京の中流家庭であれば、こうした郊外にしか家は建てられず、この悶絶の通勤状態にならざるを得ません。しかも、定時後の帰宅時も電車は常に混んでいる。

 

現在私は佐賀県を拠点としていますが、佐賀県民にとって身近な都会は福岡県博多区になります。天神や博多駅周辺が栄えていますが、ここに行くのは佐賀県の北部の人であればかなりラクです。人口が県の上位3つである佐賀・唐津・鳥栖のケースを見てみます。

 


鳥栖・博多:快速で28分、特急かもめで20分

佐賀・博多:長崎本線で鳥栖まで32分、そこから快速に乗り換え28分の合計1時間+乗り換え時間。特急かもめで37分

唐津・博多:快速で1時間20分、高速バスでも1時間20分

 

 


昭和バスの高速バス「からつ号」

 

 


唐津大手口バスセンター

 

 

佐賀県を訪れた人は「意外と近いですね」と言うことが多いです。しかも、福岡空港と博多駅がわずか2駅しか離れていないため、東京から来るのも案外ラクです。佐賀市へ行くのであれば、佐賀空港も使えます。佐賀市の若者などは、週末は博多で買い物をしている、なんてことも言います。それだけ博多が身近な存在になっています。それでいて電車が満員になるなんてことはあまりない。

 

さすがに北海道や東北のような広大な土地ではこのようなアピールは難しいでしょうが、「意外と大都会に近い」が事実なのであれば、積極的に対外的に情報発信をすべきです。その時は、交通費が意外と安いことなども含めて伝えた方がいいです。定期券や回数券を使うとどれだけ割り引かれるか、といった情報も重要です。

 

唐津←→博多バスターミナル(および天神日銀前)は、昭和バスで片道1050円ですが、往復回数券だと1800円(片道900円)、4枚綴りだと3500円(片道875円)、14枚綴り10000円(片道714円)です。これについては、会社員時代、私が使っていた自宅近くのバス停から立川駅までのバス代190円+立川・田町のJR運賃650円とあまり違いがありません。

 

こうした事実を具体的数字とともに積極的に伝えていくことが大切です。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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