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2022/03/01

SNS、出来ることから始めよう

中川淳一郎

中川淳一郎

私は現在佐賀県唐津市にいますが、唐津に関する情報や写真をツイッターに公開すると、唐津にかつて住んでいた人と唐津に過去来て良い時間を過ごした人から反応がけっこうあります。私が書くのはイカを釣ったことやクワガタを獲ったこと、唐津城の様子、唐津くんちなど日常風景と、催し事です。もちろん日々食べたものも含めています。書き込まれるのは、「懐かしいです」「唐津城大好きです」「唐津くんち、是非来年はフルで楽しんで下さい(2021年は神事のみ実施)」などです。

 

この気持ち、分かります。私も2020年まで事務所を構えていた渋谷の代々木八幡あたりの情報や新店オープン情報などを知ったら何か書きたくなるでしょうし、次回東京へ行った時は訪れたくなることでしょう。

 

人は縁のある土地の情報を意識的に検索するものです。そうした時に、ポジティブな情報を目にしたら何か一言言いたくなるし、実際に訪れる、といったアクションをするもの。というわけで、各地でツイッター、インスタグラム、ブログをやっている人は自分の住む・勤務する土地について情報発信をすると人が街を訪れてくれるかもしれません。

 

 


唐津と言えばイカ

 

 

2021年夏、「九州花火大会」が規模を縮小して行われました。多くの人が唐津の「西の浜」などから花火を楽しんだのですが、やると決まった後の私のツイートと事後の写真公開には唐津出身者からのコメントが複数付きました。いずれも故郷を懐かしがるようなものです。

 

もしかしたらその人は実家があるので帰ってくる頻度が高くなるかもしれないし、実家がもうないにしても福岡への出張があった時に1泊増やして帰ってくるかもしれない。そうした効果がSNSでの個々人の発信にはあると思います。元々の知り合いで地元に住んでいる人のことはフォローしていることが多いでしょうから、日々、地元に残る人が情報を発信することが地域の力になる。

 

一人のインフルエンサーにお金を払って旅行の様子をSNSに書いてもらうことも大事ですが、フォロワーが少なかったとしても、地元の名前を書き込んでおけば、リアルタイム検索で引っかかるもの。これはインフルエンサーの一言と同様の価値があります。というわけなので、その自治体の議会は「地元のことをSNSで市民(区民・町民・村民)に積極的に発信してもらう」という企画への予算取りをした方がいいです。

 

 


唐津にはヒラタクワガタもいる!

 

 

予算の使い道としては、SNSの使い方が分からない人向けの講座、そして相談員(電話・メール対応をしてくれる詳しい人)への報酬があるでしょう。あとはユーザーへのインセンティブとしては月に10回以上書き込みをした人には300~500円の地域クーポンの提供が考えられます。あとは、自治体が拡散してもらいたい案件については、報酬を支払って書き込みをしてもらう、という予算も必要です。たとえば「写真を撮るのが上手な子育て女性」などと書き込み者を搾り、最低限必要な文章を提供し、発信してもらう。説明会には、その自治体の職員も参加し、その場でフォローしてもらう。

 

さすがに、2010年頃流行っていた「当店についてツイートしてくれた場合、フォロワーの数に応じて割り引きます」などはもはや無理ですが、限られた予算で上記のようなことはできるのではないでしょうか。

 

ユーザーにとっても、何らかの反応が付くことで、日々孤独感を感じている人や、やることがなくて暇な人にとっても生きがいになるかもしれません。そのツイートに対して「〇〇さんのおススメの海鮮丼のお店、行ってきました! おいしかったです」なんてコメントがあったら嬉しいもの。

 

当然炎上したり凹んだりすることはあるでしょうが、そういった時は上記の「相談員」に電話をできる体制にしておけばいい。地方創生はこうした地道なことも案外効くかもしれません。案外人々はその土地の名前で検索をするものです。行くかどうか迷っている人の最後の後押しになり得る可能性があります。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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