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2022/06/07

新規特産品を考察する

中川淳一郎

中川淳一郎

私は前々から地元の名産を無理矢理観光客向け商品にするのはいかがなものか、と思い続けてきました。よくあるじゃないですか、地元の高速道路のPAやSAで売っているソフトクリームの類が。地元名産のミカンやらイチゴ、ブルーベリーだったらいいのですが、その組み合わせを聞いただけで一瞬ギョッとして、そこから「話のネタに買っていくか」と一つだけ買い、仲間うちで回し食いをし「うーん、これは……」「私は意外といける!」などと盛り上がるグッズです。

 

「わさびソフトクリーム」や「醤油せんべいソフトクリーム」「イカスミソフトクリーム」「カニ味噌ソフトクリーム」「ウニソフトクリーム」「イナゴ入りソフトクリーム」などがそうですね。ベースはバニラだったりするので「激マズ」とはならないものの、他にもっとおいしいものがあるとしか思えない。全国区にならないということは、わざわざ関係のない地域の特産品を他の地域が採用するメリットがないからです。

 

上記ソフトクリームのどれか一つでも定番商品としてコンビニが採用するなどしたのであれば、そのおいしさは本物だと思うのですが、そうもならない。やっぱりご当地食材のPRのために使われたおもしろ商品と捉えるのが筋ではないでしょうか。

 

これ、各地のPR担当者は大真面目で作っていると思うんですよ。「我が街特産の〇〇をPRするにはどうすればいいのか」というお題についてソフトクリームや饅頭、サイダーなんかを作ってその珍奇性からSNSやニュースで話題となり、そこそこの知名度は獲得する。

 

しかし、カニの名産地で「カニ味噌ソフトクリーム」というのに対しては「もっと有益なカニ味噌の使い方があるのでは……」と思ってしまうんですよ。恐らく瓶詰の塩漬けや、甲羅にカニ味噌入れて日本酒を飲むとかそうした方がカニ味噌の真価は発揮できる。

 

まぁ、私自身、「みたらし団子」が苦手なのもあると思うのですが、本来しょっぱいものを甘くして別の食べ方をするというのに抵抗感があります。だからここで挙げたようなソフトクリームに違和感を覚えたのでしょう。

 

これを他人事と捉えられなくなったのが、私の地元・東京都立川市です。同市は「うど」が名産です。そんなわけで、街をあげてうどのPRに務めたのですが、その結果生まれたのが、「うどラーメン」「うどパイ」「うどら焼き」「うどゼリー」などです。ひょろりと長い紡錘型をした白いキャラである「ウドラ」といううどのゆるキャラも存在します。国営昭和記念公園では、「ウドラソフトクリーム」も現在期間限定で発売中ですが、こちらはあくまでもウドラを模したバニラソフトクリームで、うどは入っておらず、これは賢明な判断だといえましょう。

 

それにしても、うどなんてものは、茹でたものに酢味噌でも付けて食べたり、キンピラ風にするのがおいしいと先人は教えてくれたのに、どうして妙な方向に走ってしまうのでしょうか。居酒屋のレギュラーメニューとしてうどの酢味噌やキンピラを出す場合は補助金を出す、といった方策の方が良かったような気もするのです。

 

 

多分、食材って合うもの、合わないものがあるはずなんですよ。宅配ピザでは、プルコギやテリヤキビーフレモンステーキといったものがトッピングで乗っている例も時々ありますが、豚肉の生姜焼きは少なくとも私の自宅に入ってくる宅配ピザ店のチラシでは見たことがない。

 

豚肉の場合はベーコン、ペパロニ、イタリアンソーセージ、ウインナーといった加工肉は合いますが、それはすでにイタリアやアメリカで確立されたトッピングなわけで、残るだけの理由があるんですよ。

 

しかし、ブランド豚の産地とかの場合、「ゴマダレ豚しゃぶピザ」とか「紙カツおろしピザ」とか作ってしまうような気もします。それはそれで努力の方向として間違ってはいやしませんでしょうか。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。現在はライターに戻りひっそりと暮らしている。

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