2022/12/12
自治体PRにおけるSDGs目線
世界各国は、「どれだけ我が国は環境問題に取り組んでいるか」「温暖化抑制に貢献しているか」をアピールするものです。同様に「〇〇国はもっと努力すべきである」などと批判をされたりもします。SDGsやCO2を含めた温室効果ガスの削減といった話題がしきりと取り沙汰されていますが、この視点を日本の各自治体も導入する、というのもアリなのかな、と思いました。
先日、東京ガスと大阪ガスの連名で「酒や総菜に温泉まで・・・品質を落とさずにCO2を相殺 『カーボン・オフセット』商品/サービスが続々登場」という資料が送られてきました。こうした活動をする企業を紹介しているのですが、登場企業の本部は兵庫県神戸市、東京都葛飾区、大阪府羽曳野市、大阪市東成区、東京都町田市、東京都新宿区でした。
一体これが何かといえば、東京ガス・大阪ガス管内の都市ガス利用施設が、「カーボン・オフセット」のガスを使用しているという取り組みの紹介です。端的にいえば以下となります。
「ガスは比較的CO2を排出しないものの、それでも一定量は排出する。そのため、少しでも出す分を相殺すべく、植樹活動や森林保全により吸収させる。この活動に共感した企業がこのガスを使う」
そして「地球規模では天然ガスを使用してもCO2が発生しないとみなされる『カーボンニュートラル都市ガス』の普及を推進しています」と説明。
この資料を読んだ時、ここに登場する企業は「我々も社会・世界のために貢献したい」という意気込みを感じたんですよ。植樹・森林保全等の活動であれば、そこに費用がかかるだけに、認証を受けていないガスよりは契約次第ではあるものの、恐らく割高になることでしょう。それでも環境問題に取り組む、という姿勢を見せている。こうした企業が地域に多数存在していれば、「環境問題に熱心な企業を多数有する市」といった形で、メディアが取り上げるかもしれないし、環境に関心のある観光客が来るかもしれない。
今回の資料では大阪ガスと東京ガスの管轄エリアということで日本酒の「福寿」(神戸)がまず紹介されています。米を蒸す工程、熱殺菌する工程、瓶を洗う工程でカーボンニュートラル都市ガスを使用しているそうです。
こうした形で、総菜の「RF1」「神戸コロッケ」「いとはん」等を運営するロック・フィールド社(神戸)、セントラルフィットネスクラブ青砥(葛飾区)、天然温泉延羽の湯(羽曳野市・大阪市東成区)、玉川学園(町田市)、早稲田大学(新宿区)が紹介されています。導入の理由として、ロック・フィールドの担当者はこう述べています。
「特に弊社では環境配慮と品質維持の両立を目指しております。例えば【1】牛肉のグリルでは表面グリル焼成機による焼き目付により焼き色と香ばしさを出します。こういった工程は電化調理では補えないため、品質を維持し、カーボン・オフセットを実現できる、カーボンニュートラル都市ガスを導入しました」
※注:上記【1】は文字化け対策のため写真内の①を【1】に変更したもの。
ゆるキャラ・B級グルメも地域創生において大事なことですが、メディアはとかく環境問題に関心があります。地元紙・地元TV局をはじめとしたメディアに取り上げてもらえるよう、自治体としても地元企業にこうした環境対策の案を提供すると、全国にその名が知られるようになるかもしれません。PRにおいては、「できることは何でもやる」という姿勢が重要です。今回は東京ガス・大阪ガス連名の資料でしたが、他の都市ガス各社もこのような取り組みはしていることでしょう。積極的に導入実績のある企業も含め、情報発信すればいいのに、と思った次第です。