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戦う歴史学者平山 優

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2022/11/22

都会VS.地方

中川淳一郎

先日「FRIDAY DIGITAL」に『都心5区にヒトとカネが集中…「東京独立運動」が起きる現実味』という記事が登場しました。ものすごく端的に要約すると「この5区は金持ちだから地方の赤字対策にカネをばらまいてあげている。そして満員電車等の苦痛を受け入れている。そして、地方を守る必要はないし地方の淘汰は悪いことではない」ということです。

 

十分に理解できる論旨です。まぁ、記事が言いたいことは「生産性が低い地方都市のために都会が面倒を見てやってるんだ。ありがたく思え。つーか、お前らは邪魔者だからそんな土地を捨てて都会に来い」ということでしょう。

 

この考え方も理解できますが、「地方交付税は辞退します。インフラ整備も我慢します。ただし、復讐はします」と地方の人がキレて逆襲を食らったら都会の人、大丈夫なんですかね。この記事の著者は「都会はエラい。地方はお荷物」という立場で記事を書いていることは分かります。

 

ここからは完全に妄想的になっていきますが、地方の人々は都会の人間からこのようなことを言われたら反論をする術を持っておくべきだと思います。「その通りですねぇ、すいません! 我々が日本の足を引っ張り、都会の皆様の高年収に助けられており本当に感謝しております!」という卑屈なスタイルになってはいけない。

 

ロシアによるウクライナ侵攻以後、西側諸国はロシアへの経済制裁を行いましたが、結局天然ガスの供給が滞り、燃料費の高騰で少しずつうやむやになった経緯があります。日本もこれと同じ構造です。都会は以下を地方に頼っています。

 

・水

・電気

・農作物

・海産物

・畜産物

・自動車や家電等の工業製品(工場は地方にある)

・部品メーカー

 

そして、東京の場合、存在するのは以下です。

・官庁

・大企業本社

・一部町工場

・びっしりと張り巡らされた交通網

・外資系企業の日本の総本山

・IT企業

・金融の総本山

・高層ビル

 

正直、人間なんてものは食料と水、電気、ガスがあれば生きていけるので、イザという時に「都会vs地方」といった状態になった時は地方の方が強かったりもするのです。さらには静岡県が「我が県にリニアモーターカーは通さない!」と反発したり、佐賀県が「佐賀空港にオスプレイは配備しない!」と言えば、いくら中央政府や都会の巨大企業であってもそこを強行することはできない。

 

都会の人が「我々が大金を稼いでお前ら田舎者に地方交付税を払ってやっているんだ」と言いたくなる気持ちも分かりますが、地方の人はこう反論できます。ここでは東京の人を相手に話している、という想定でお願いします。

 

「じゃあ、国産野菜・果物・肉・海産物も諦めてくださいね。せいぜい東京湾のスズキやハゼを食べ、ノルウェー産のサバを食べておいてください。あとはブラジル産の豚肉やタイ産の鶏肉を食べておいてください。あと、水と電気もなんとか自分達で作ってくださいね。あっ、シャインマスカット、香港の富裕層に大人気なので、東京以上に高い値段で売り付けまーす!」

 

さらには、滋賀県民が京都府民・大阪府民からマウンティングを取られた場合は、滋賀県民得意のジョークフレーズ「琵琶湖の水止めるぞ!」を言えばいい。

 

もちろん地方交付税により地方のインフラ整備ができている現実はあり、都会に感謝すべき点は多々あります。しかし、冒頭の記事のように、大都会TOKYOの人間がここまで明確にdisってきた場合は、上記のようなことを言って地方が存在していることの有難みを一度味合わせてもいいかもしれません。

 

正直、都会者は地方から受ける恩恵を理解していません。地方の人は「じゃあ、オレら中国と台湾と韓国に色々輸出するからwwwwww 東京に何も売らないよー!」という脅しのスタンスを見せてもいいでしょうし、上から目線で都会人から言われたところで上記のように猛烈に反論してもいいでしょう。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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