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2023/01/13

結局人生、トレードオフ

中川淳一郎

私が唐津に来てから、ツイッターでよく寄せられる罵倒が「田舎からギャーギャー吠えるオッサン」や「田舎で騒いでるヤツ」です。なんなんですかね、この罵倒作法。田舎だからって何なのか?

 

どうせ東京だって大阪だって田舎者の集合体なわけであり、今の日本で「田舎者」という単語が明確なdisりの言葉になっているのは異常です。だって、日本人なんてほぼ全員田舎がルーツなワケですよね。生粋の江戸っ子と言ったとしても、江戸が100万都市になる前は、武蔵の国は田舎だったわけで。

 

というわけで、今回は「田舎者」とバカにされた場合の反論について考えてみます。正直、なぜ「田舎在住」が差別・軽蔑の対象になるのかの意味が分からない。まぁ、それは私が人生49年のうちほとんどを東京で過ごしたからそう思うのかもしれません。しかし、生粋の田舎人からしても、劣等感を覚える必要はありません。

 

所詮、都会なんて人が多いだけ。満員電車は不快なだけですし、ターミナルはとにかくアリの行列ごとく、ノロノロと大量の人間が歩いていくのについていく。やたらと「足を踏んだな!」「仕方ないだろ!」みたいな争いも発生する。

 

ただ、地方都市に住んでいると「都会の方は洗練されてますね」「やっぱり東京はすごい街なんですよね」と言われることもありますが、まぁ、数年いれば飽きます。特に高齢になったら都会のメリットはあまりありません。

 

ド田舎は除くものの、結局都会にあるもので地方都市にないものは娯楽以外は特にないんですよ。別に地方都市であれば交通網なんていらない。ただ、演劇・博物館・美術館・イベント・スポーツ観戦・映画・テーマパーク・遊園地といったところは都会にしかないですが、これらをどうでもいいと考えているのであれば、間違いなく地方の方がいい。

 

私は元々こういった人が集まる場所が好きではないので、唐津に来てからもまったく不自由は感じません。むしろ、渋谷駅を降りた瞬間、数千人の人がスクランブル交差点にたむろし、信号を待っている瞬間を見た時の方がげんなりします。

 

 

時々乗る朝・夕方の満員電車も苦痛で仕方がありません。結局私はこういったものがイヤだったから各種娯楽は捨てて地方に移ったのでしょう。結局、人生というものはトレードオフの関係にあるわけで、両方を取ることはできません。元々これらの娯楽はそこまで重視しておらず、酒を飲むことが最大の娯楽だったので、地方にいてもまったく困りません。

 

ましてや、今はNetflix等も発展していますし、ネット環境が地方にあるわけで都会の優位性というものは「仕事が多いかどうか」ということだけでしょう。リモートで仕事ができる人や、「もうやり切った」と思える人は、都会に固執しないでもいいのでは。

 

私自身は47歳で「やり切った」と思えたため、もう東京はいいや、と決めました。ましてや、疑似東京みたいな札幌・仙台・横浜・名古屋・大阪・神戸・広島・福岡にも住もうとは思いません。

 

別にケンカを売っているわけではないのですが、地方民はそれほど劣等感を持つ必要はないですし、都会民も別の都会に移る必要もないのでは、と思うわけです。多分どこも同じようなものです。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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