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戦う歴史学者平山 優

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2024/03/06

城について考察する

中川淳一郎

地元の観光名所として「城」は大事ですが、城を巡っては突然ゴニョゴニョと歯切れの悪いことを言う人がいます。ソレが何かといえば、「昔の姿を保っていない非木造建築であることが恥ずかしい」という思いです。

 

私は佐賀県唐津市在住ですが、唐津市は1602年から1608年にかけて築城された唐津城を有します。1966年にコンクリート製の天守閣が完成しましたが、地元の歴史通は「元々唐津城に天守閣はなかった。あれはインチキや!」と酒を飲みながら異議を呈していました。

 

コレなんですよ。どうも、観光目的で作ったコンクリートの城は歴史通からすると許せないらしい。名古屋城にしても、木造に作り替えるプランが出ていますが、これもコンクリートの名古屋城を許せない人がいるのでしょう。

 

一方、天守閣や櫓等が消滅し、石垣と草しかないような城は評価が高い。「天空の城」として知られる兵庫県の竹田城なんかはその典型例。長崎県の原城については「原城跡」と呼ばれ、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成要素として世界遺産に認定されています。

 

滝廉太郎『荒城の月』で知られる大分県の岡城も、天守閣がないものの、歌の影響もあって由緒正しい城とされています。そんな岡城は1987年に「岡城800年再」の一環として、天守閣を復元させました。しかし、わずか20日で撤去。せっかく作ったんだったらそのまま残していいじゃ~ん!

 

結局ステイタスが高い城は「当時の姿を保っている」といったところにあるのでしょう。「日本百名城」に選定された城は石垣だけの城も案外多いです。だからこそ、朝鮮出兵で知られる唐津の名護屋城は日本百名城入り。歴史的価値が高いとされ、佐賀県が敷設の博物館を作るほど重要視しています。天守閣がない佐賀城も「日本百名城」入り。一方、唐津城は「続日本百名城」です。

 

 

そして、「現存天守12城」と呼ばれる城は当然「日本百名城」入りをし、当時の姿を残していることから別格扱い。それらは以下の通り。

 

弘前城、松本城、丸岡城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城、高知城

 

熊本城がここに含まれていなかったのは個人的には意外でした。それだけ魅力的な城なんですよね。と考えると、復元ないしは新たに作った城であっても観光地としては十分な実力を備えているといっても構わないのではないか。だからこそ、造形として美しい唐津城のことも胸を張って紹介したいわけです。

 

さすがに予算的には厳しいものの、安土城をこれから復元したら絶対に行きたいですよね。城についてはコンクリート製や復元されたものは格下扱いされる風潮、そろそろやめませんか? そのためには地元の人がその城に対して自信を持つことが重要なんだと思います。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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