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2022/07/20

移住について考える…モンスター移住者とか

中川淳一郎

中川淳一郎佐賀唐津移住

地方移住は昨今注目されていますが以前、週刊SPA! に「モンスター移住者」ともいうべき人に対し、キレる自治体職員が登場しました。山口県阿武町で、移住してきた男性に町が誤って4630万円を振り込んだ騒動があったじゃないですか。あれを受けてのSPA!の特集です。

 

この移住者は24歳で、様々な手当てを受けたうえで、空き家バンクを通じて家を激安で借りていました。そんな「ヨソ者」が引き起こした騒動だったわけですが、同誌に登場した自治体の移住関連部署の担当者は移住者が「来てやった」「で、おたくらは私に何をしてくれるの?」的に振る舞ったことに怒っている様を見せていました。

 

この担当者が圧倒的に正しい。別に移住者は「お客様」ではないのです。移住者の中には、「オレ様は都会からこんなクソ田舎に来てやった移住者様だ。感謝しろ」という考えを持つ人もいます。この手の人は、補助金をすべて吸い尽くしたら出て行くような人々。だから私は移住支援程度のレベルならいいものの、多額のカネを移住者に払う必要はないと思っています。

 

どうせこの手の人は、補助金が払われなくなったら別の土地に行って補助金をもらうことしか考えていないのですから。私が現在拠点を構える唐津の場合は、移住支援のNPOが最初の一ヶ月は家とレンタカーを無料で貸し、その間に定住するために情報収集と不動産屋との交渉をするように、という条件でした。

 

 

これは非常にいい。「1ヶ月ぽっきり面倒見ますよ! 気に入ったら住んでください。まぁ、その後困ったことがあったら相談してください」というのは実に分かりやすい。各自治体の移住促進の部署の仕事は、【1】情報発信【2】問い合わせ対応【3】初期の頃のサポート【4】その後の相談に乗る、の4つで十分じゃないでしょうか。

 

お金の面での優遇は実は移住者の増加や定住には繋がらないのでは、と今回の件で思いました。現在唐津在住の私の場合、最初は佐賀県の移住支援室の人とZoomで会議をした結果、唐津に決めました。以後、こちらから補助金をお願いすることはありませんが、時々飲んだり一緒に釣りをしたりしています。

 

佐賀県庁の人々とは非常に楽しく付き合っていただいていますし、唐津市役所の人と一緒に離島の旅行に行ったりもしました。移住者を受け入れる側の人も「この人は我が市(町・県・村)にとって良い人物である」と思った場合、こうして酒を飲んだり遊んでくれたりすると、ますますその移住者はその土地を好きになることでしょう。強調しますが、あくまでも、その土地の役に立つ人だけにそういった対応をすればいいです。役立たずや、馴染もうとしない人にはしないでいいです。

 

結局「カネの切れ目が縁の切れ目」というのはけだし名言で、移住者募る時に手厚い補助金をぶら下げるだけでは街の発展など見込めません。むしろ、冒頭の阿武町のように、ろくでもない移住者により、全国に悪い評判が撒き散らかされるだけになるほか、地元の人々が移住者に対して嫌悪感を抱くだけになります。

 

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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