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2022/07/01

誰も幸せにしないランキングに物申す

中川淳一郎

中川淳一郎

「プロが選ぶランキングサイト」を標榜する「ランクワン」というサイトがトンデモランキングを紹介し、ドヤ顔をしている。今回は「ですます」調ではなく「なんじゃこりゃ、オラ」調で書く。

 

ランキング名は「食べ物がまずい都道府県ランキング27選【2022最新版】」となっている。よくもこんな誰も幸せにしないランキング作りやがるな、コイツ、と思いつつも見てみたらヒド過ぎた。各自治体の担当者はこんなサイト見ないでいいんで。アクセス稼ぎに貢献する必要はない。あと、「都道府県魅力度ランキング」で昨年最下位になった栃木県の福田富一知事知事が激怒して運営会社に乗り込んだが、そうしたランキングに目くじらを立てる必要はない。彼らの知名度を高めるだけの効果しかない。そしてこのランキングの書き出しはこうだ。

 

〈旅行には食べ物がつきものですが、中には食べ物がまずいと感じる都道府県もあるかと思います。そこで今回は、食べ物がまずいと感じたと話題の都道府県をランキング形式で紹介します。〉

 

「誰が話題にしてるの?」というツッコミへの回答はないまま、いきなり27位「岐阜県」が登場。具体的な食べ物として飛騨牛は挙げて〈そんな岐阜県の食べ物について一部の人たちからは「岐阜県と言うイメージがあまり特産品が無いように思うので食に対してもそれほど繊細なところが無い県のように思う」〉と来る。

 

 

以後、ランキングに入るが、誰もが知っているような食べ物を挙げ感想を挿入する。26位は愛媛で、挙げられたのは「じゃこ天」そして感想は「実際に行って全てがいまいちだった」と、主観入りまくり。

 

一体、どこが運営しているのやら、と思ってみたら「RANK1運営事務局」で、「キュレーター」がたくさんいる。要するに、激安料金で他のサイトからコピペと著作権・肖像権違反をしているクソサイトで、2013年頃流行り、その後医療系デマ情報等で社会問題となった「キュレーションサイト」の生き残りである。ありとあらゆるどうでもいいランキングを網羅しており、画像はパクりで文章も薄っぺらい。

 

しかもランキング発表といえば「集計期間」「対象地域」「対象年齢」「人数」を入れるのが当たり前なのに、一切それらの記載がない。さすがにここを捏造するわけにはいかないのだろう。やっていない調査を「やった」ことにしないため、maru.wanwanというハンドルネームのキュレーター(笑)に責任を押し付けている。27位の「岐阜」と26位の「愛媛」、何が違うんだエッ! 根拠を述べろ! maru.wanwan.、どうせ貴殿の主観だろ。岐阜の食い物なんて、調べずに思いつくだけでも鮎・シジミ・天むす(名古屋ではない。発祥は岐阜である)・岐阜タンメン・朴葉焼きなどが思いつかないのにエラソーにランキング作ってるんじゃねぇ。maru.wanwan、貴殿は6月1日段階で1261ものランキングを作っているが、どうせ投稿フォームにアクセスして、しこしこと他のサイトのURL貼りまくってはお手軽にランキング作ってるんだろ。オレだってかつてキュレーションメディアのライターやってたからその手口は十分分かっておるわ。そして最後にこう来る。

 

〈ここまで食べ物がまずい都道府県ランキングを紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。1位は沖縄県でした。ここで紹介した意見はごく一部の人たちのものです。みなさんもぜひご自身でチェックしてみてはいかがでしょうか。〉

 

ただただ「まずい」として挙げた27の自治体をくさすだけであるとともに、世の中の大多数のウェブサイトが低レベルのパクリだらけであることを紹介するだけの無価値なコンテンツである。3位の奈良は「奈良は奈良漬け以外印象的な食べ物が無い」も理由の一つ。それ、貴殿の知識不足でしょうよ。そして噴飯モノなのが4位が「東京」である点。どう考えても日本で一番食事がウマい土地でしょうよ。それでいて「ここで紹介した意見はごく一部の人たちのものです」と逃げを打っている。徹底的にセコい。

 

あぁ~、こんなバカランキングを熱心に解説してしまった。それも皆さんのためである。というわけで、この手のパクリサイトのことはスルー推奨。口直しに私が食べて本当においしかったものをいくつか挙げる。かつて写真を撮る習慣があまりなかったため、基本東京と佐賀のものだけになってしまうが許してくだされ。

 

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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