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2022/09/07

関係人口を増やすには…地方副業?

中川淳一郎

最近、週刊誌の記者と喋って地方創生において重要なのは「地方副業人材」と「関係人口を増やす」だと聞きました。「地方副業人材」は、リモート会議が一般化した中、自分の住む土地とは別の場所に住む人とビジネス上の課題解決の助言やアイディアをもらうということなどだそうです。

 

乱暴な実例を出しますが、美しいビーチがあるものの、利用者向け施設がまったくない場所があるとしましょうか。その場合に、いかにして「海の家」的な施設を作るかは素人には難しい。そうした施設を運営している会社に勤務している人をネットで見つけ出し、オンラインで教えを乞うわけです。

 

これはそのプロにとっては「副業」になります。資金調達のやり方や絶対に必要な設備の情報、さらには運営にあたっての重要事項や向いているタイプの従業員なども教えてもらえることでしょう。さらには、「入れ墨をしている人をどのように対処すべきか」など、海の家を運営するにあたって必要なことを“先輩”に教えてもらうのです。

 

補助金をいかにもらえるか、等も教えてくれるでしょうし、週に1回の定例会議を行い進捗を報告しつつさらに助言を受ける。運営が開始しても問題点等を相談し、改善していく。このような助言をくれる人が地元にいない場合、「地方副業人材」が大きな手助けとなってくれることでしょう。報酬については応相談ですが、互いに折り合う金額にすればいいのです。折り合わなかったら別の人に頼めばいい。先生・コンサルタント役になる人にとっても、たとえば「月額10万円」等のコンサルティング料は魅力的な副業収入になるかもしれません。

 

あとは、おいしい梨を作る農家があったものの、ネット通販のやり方が分からない農家がいるとします。その場合に、たとえば自らのお店が作れるプラットフォーム「BASE」を運営している同業者に相談をし、同様にコンサルティング料を支払い、軌道に乗るまで助言をしてもらう。

 

これが「地方副業人材」です。こうした人材とオンライン会議を続け、事業が回り始めたところで「〇〇さん、ぜひ、こちらに来ていただけませんでしょうか!」と言い、その土地の魅力をこれでもか! とばかりに伝えると、恐らくその先生役の人は快諾することでしょう。もちろん、発注側がその人物の助言に感謝している場合に限りますが、軌道に乗った場合はその人は来たくなる。

 

そして、そうした「地方副業人材」の人々はある程度の地位を築いた人のため、お金を持っているし、友人も多い。そういった意味で、その人一人を捕まえることにより、地元に2泊3日等の旅行に来てくれる可能性が出てくるのです。これが「関係人口を増やす」です。

 

こうなったらしめたもの。地元の仲間と一緒に彼らを歓待すれば、「オンラインだけで会うのではなく、オフラインで会えてうれしいです!」「旅先でこんな歓待をしていただけるとは!」となります。

 

次回いつ来るか、といった話も来訪時にはし、その人と仲間にはリピーターになってもらう。そうすると地元の飲食店や宿泊施設にお金を落とすことになりますし、来れば来るほどその街を好きになってくれるかもしれない。

 

現に私は「地方副業人材」ではなく元々の知り合いやツイッターで出会った人々を私の地元・唐津で歓待していますが、リピート率がハンパないんですよ。そして唐津の人々もその人が再訪した時は「お帰りなさい」と言う。こんな街はその来訪者にとっては他にないわけで、ますます唐津を好きになる。いずれ移住する人もいるかもね、と今は思っています。

 

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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