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2023/06/30

はなわさんの「佐賀県」から考察する

中川淳一郎

佐賀県出身のお笑い芸人・はなわさんが『佐賀県』という歌を発表し、話題になるほか、佐賀県への関心が高まりました。佐賀県民の中では「あまりにも自虐的過ぎて佐賀県をバカにしてる!」といった批判もありましたが、あの歌の中のかなりは事実であり、そこまで怒る必要はないと佐賀県在住の私は思います。

 

『佐賀県』で描かれた佐賀の風景は「田んぼが多く弥生時代風」「ヤンキーがモテる」「佐賀県民はネガティブである」「自動車があまり走っていないのに子供達が蛍光テープがついたヘルメットをかぶっている」など、いかに佐賀県が田舎であるかを歌にしたものです。

 

しかしこれらは事実でありますし、はなわさんだって佐賀が自分の故郷であることを明言し、佐賀県内の各地でPVのロケをし、佐賀愛は明確に表現している。このような「自虐的愛情表現」は、漫画『翔んで埼玉』(後に映画化)でも登場しましたが、案外良いPR策な気がするんですよね。埼玉県民も喜んでいました。

 

私は49年の人生のうち、42年を東京で過ごしました。そのうち、地元・東京都立川市を自虐的に表現するとこうなります。

 

・ライバルは府中と八王子、目クソ鼻クソの争い~♪

・なぜか隣の国立市に劣等感を抱いている~♪

・ウドしか名産がない~。強引にパイやらラーメンにする始末♪

・西武ライオンズを応援してるが、西武の本拠地は所沢~。立川じゃない~♪

・駅周辺だけ栄えてる~、他は畑だらけ~、栄町も商店街は栄えてない~♪

 

もちろん私は立川市に世話になったし、無事にこの街から大人になれたので感謝しています。しかし、無駄にプライドを出しまくる必要はないと思うんですよ。それこそ、はなわさんみたいに、自虐的に故郷をアピールしてもいいと思う。なぜかといえば、日本人は「自慢」よりも「自虐」の方が世間受けが良いからです。

 

だったら、はなわさんに倣って「自虐ソング」を作ればいいし、各自治体のHPで自虐を言いつつも実際は自慢をしているようなコンテンツを作ってもいいと思います。そうした方が、度量が深いと思われるでしょうし、ヨソの方から関心を持たれる。

 

正直、はなわさんの歌がなかったら「滋賀県」だと思っている人もいたはず。ラーメンズのコント「日本語学校アメリカン」では、県名を教師が言い、そこにコメディ要素を重ねていくものでしたが、「千葉! 滋賀! 佐賀!」というものがありました。オチに使われるのが佐賀県だったのです。

 

こうした自虐的紹介って自身の地元を考えるきっかけにもなりますよね。地元の人との飲み会で「確かにそう!」とうなずき合ったり「いや、違うよ」となれば盛り上がるのでは。私が佐賀で感じることをいくつか書きます。

 

・高級外車は大抵福岡ナンバー♪

・唐津線の車輛が1台のため、佐賀駅で電車が見つからず1時間待ち~♪

・邪馬台国の場所論争で福岡と奈良に対抗しない♪

・長崎新幹線、佐賀はあくまで通過地点~♪

・最大の運動イベントは有明海干潟で泥だらけになるガタリンピック♪

 

とまぁ、控えめで呑気な土地柄がこれで感じることができるのでは。しかし、唐津の中町・呉服町・京町のいわゆる「唐津商店街」にはミシュラン店が6軒あることは地元の人にとっては誇りになっていることは追記しておきます。

 

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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