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2022/10/14

地方紙はネットニュースの強化を!

中川淳一郎

先日、全国の地域活性化に携わるポニーキャニオンのエリアアライアンス部長・村多正俊さんと「佐賀を元気にするには?」というテーマで対談し、佐賀新聞に掲載されました。すると、地元・唐津の街を歩いていると「読んだよー」と言われることが多数です。通常新聞って高齢者が読むものと思われますが、若い人からもこのように声を掛けられました。

 

通常の新聞の場合、看板面の一つである「社会面」は最終ページの前の見開きであることが多いですが、佐賀新聞の場合、2つ前の見開きです。当然一面がもっとも重要ですが、社会面は2ページ目・3ページ目に続くぐらい重要でしょう。しかし、佐賀新聞の場合は2つ前。だったら、全国紙の社会面にあたる最終見開きに何があるかといえば、訃報欄・誕生欄・佐賀県内の子供達の紹介があります。

 

佐賀新聞の記者から聞いたのですが、「これらはキラーコンテンツです」とのことです。とにかく地元で生きていくには、どこで誰が亡くなったかや誕生したか、そして子供達が新聞に掲載されていたことを把握することが重要。葬儀に参列したり、贈り物をするなどにあたり、これらの欄は必要なのです。

 

こうしたことからも地方紙は読まれていますが、冒頭で挙げたように、外部の視点から「地元の良いところ」を発信することにより、県民は誇りを持つことができるのではないでしょうか。そういった意味で地方紙の役割は大きいですが、地方紙が果たすべきもう一つの役割は、「ネット強化」です。

 

意外かもしれませんが、ネットニュースの世界で地方関連のニュースってかなり読まれるんです。災害や殺人事件や珍事件は当然のことながら、クスリと笑えるニュースや意外過ぎる取り組みなどは読まれます。紙の新聞であれば、地元でしか読めませんが、他県の人を誘致するにはネット部署は他県の人を意識した記事を独自に作っても良いと考えます。

 

紙版ではありますが、過去に東京新聞に「山奥でアワビ養殖」という小さな記事がありました。浜松市の取り組みで、過疎地の活性化のため、山奥で職員と高齢者らがアワビの養殖を開始したというものです。これには自分と関係のないエリアであるものの「おぉ!」と思いました。東京新聞は中日新聞が発行しているため、東海エリアの記事も案外多いのですが、これはさすがに東北や九州の人はネット以外では読めない。

 

大分合同新聞の「ミニ事件簿」は、県内の駐在所の警官から聞いたであろう話が多数ありますが、大多数が呑気。建物の中でガサガサと音がするので警官が警戒しながら入るとネコが出てきた、といった話ですね。それに呑気なネコと警官のイラストが付き、ネット上では人気です。

 

こうしたローカルネタであってもネット上では人気となる可能性があるため、県外の人向けの記事をいかに作るか、を各地方紙の電子版担当記者は考える必要があるでしょう。私は佐賀の場合は以下がパッと思いつきました。

 

・ぜひ会いに来んしゃい、「佐賀の変人紹介」シリーズ

・全国でも珍しいものだけを集めたシリーズ(たとえば佐賀市の巨石パークなど)

・果物タップリの佐賀市のパフェ

・九州のアマゾン配送センターの中心

・唐津くんちが好き過ぎて移住した男の子紹介

・やたらと人懐っこいネコが多い唐津城

・佐賀ラーメンはかなりウマい

 

 

京都・札幌・金沢・蔵王など明確な目的がある旅行場所以外、決定の最後の一押しは「そういえばなんか面白い記事を読んだな……」みたいなことも影響するでしょう。そんな時、これら地方紙の電子版が役に立つような気がします。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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