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2022/10/26

地方創生とトイレ事情

中川淳一郎

地方創生に向け、一つ大事なのが「トイレの整備」です。すっかりキレイなトイレに慣れてしまった都会人が多い昨今、地方との「トイレ格差」を都会人は感じてしまうものです。「あそこの道の駅、汚かったな……」みたいなことが、旅の記憶の一つになってしまい、その人にとっては再訪問を妨げる要素になるのです。

 

とある市に行くと、公共の便所が「和式」「洋式でレバーを倒すと便器内に穴が開き、水が流れるタイプ」「和式に洋式便座を付けたタイプのもの」であることだらけでした。都会の子供などは、これらで一体いかに用を足せばいいのかが分からないかもしれません。下水道を含めたインフラについては地域ごとに限界があるのは分かりますが、町役場や市役所は「観光客向け便所充実予算」の計上を検討してはいかがでしょうか。

 

せめて、一番の観光の目玉の場所ではトイレの整備をするだけでも、かなり観光客の印象は変わってきます。何しろ、同じエリアでも観光施設や飲食店では前述3パターンの便所なのに、ホテルは新しいシャワートイレ(ウオシュレット的なトイレ)であることが多い。ホテルは滞在時間が長いからこそ、快適性を重視しているわけです。だから、その地域のインフラでもできないワケではないのでは。

 

 

恐らく、成田空港、羽田空港、福岡空港、関西空港のトイレのキレイさに海外からの観光客は好印象を持っていることでしょう。その要素の一つはとにかくトイレがキレイな点。明らかに他の国のトイレよりもキレイかつ設備が整っており、日本という国の玄関に入ってすぐに彼らは好感を抱いてくれる。

 

あと、高速バスにもトイレは必要だと感じます。私は唐津・福岡間の高速バスをよく利用します。理由は、途中で乗換もないし、Wi-Fiもあるため。しかも、電車よりも安い。それなのに唐津に来る時、電車を利用する人は案外多い。

 

一体なぜなのかを聞いたところ「私は途中、もよおしてしまうことがあるんですよ。トイレがある場合は安心できます。それは精神衛生的にもいい。だからトイレが完備されている電車に乗るのです」とのこと。

 

たかがトイレ、と思うかもしれませんが、仮にもらしてしまった場合、その人にとっては一生の恥ずかしい思い出になるし、同じ空間に閉じ込められた他の乗客からしても苦痛の時間になります。やっぱり新幹線や特急の安心できる点は「いつでもトイレに行ける」ことなんですよね。

 

観光地・交通機関のトイレ、コストもメンテナンスの煩わしさもあるかとは思いますが、これらを充実させることでそれ以上のメリットがもたらされるのかな、とも感じます。各地の観光協会では観光客にアンケートをするにあたっては「トイレの充実度はいかがでしたか? →大変良い 良い 普通 悪い かなり悪い」といった項目を足してみてはいかがでしょうか。それをベースに予算獲得に動き出せばいいと思います。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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