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2023/02/08

自治体情報発信・丸投げのススメ!

中川淳一郎

自治体の観光課や広報課的組織が積極的にネットで情報発信をしようとしても、多くの場合、数ヶ月で息切れしてしまうことが多いです。というのも、そうした組織だと所属員が持ち回りで原稿や写真や動画を公開するも、途中から負担になってしまうんですよね。当初の熱意が薄れ、モチベーションも下がっていく。

 

何しろ他にやることがたくさんあり、正直「片手間」になってしまうんですよ。「〇〇市広報日記」とかがあっても「最新更新日 2018年7月14日」とか書かれてあると、気分が萎えます。恐らく役所の場合特別な事情もあるでしょう。役所って、3年間で異動してしまうケースが多いため、その企画のオリジナルメンバー全員が他部署へ行ってしまうと現メンバーは放置しても許される気持ちになる。「別に私がいた時に決めた企画ではない」と言えますから。

 

しかし、自治体の情報発信は常に最新のものを発信するほか、蓄積された情報を小出しにした方が読んでもらえるもの。と考えると、継続が必要なのですが、内製は本当に難易度が高いです。だから、内製するのではなく、最初から外注に出してしまった方がいいと思います。外注先が決定したら、その人からの問い合わせに答えたり、必要な写真・資料を提供する必要はありますが、あまり口出しをしないでいい。

 

最初の数回は原稿チェックを念入りにしてもいいですが、外注相手が信頼できる人であれば、ファクトチェックのみし、細かな表現などは直す必要はありません。結局その方が職員にとっては仕事の負担が軽減されるし、ライティング・編集仕事がほしい地方在住の編集者やライターにとっては安定仕事となり感謝されます。

 

外注先ってけっこう危機感をもって生きているんですよ。いや、職員に危機感がないと言いたいわけではないのですが、多くのフリーランスや零細企業は、少しでも安定的な仕事が欲しいもの。だから切られないように頑張ることが多いですし、信頼を勝ち得て他の業務も獲得すべく何らかの提案もしてくるかもしれません。そんな時、役所の仕事は地元有力企業と並んで感謝すべき対象。

 

結局メディアの仕事ってものは、いや、それぞれの分野についてはその道のプロに任せればいいんです。役所の職員にとってのプロフェッションは「行政の手続きを執行すること」になります。そこに徹底すればいいだけなのに、専門外の分野に首を突っ込んでしまう。

 

本当に心から言いますが、情報発信については役所の人がやる必要はありません。そういったことをやりたいプロが日本には大勢います。その中で最も優秀かつ気が合う外注先を見つけ、その人に頼めばいいだけなんです。

 

これまで私は民間企業ととんでもなく多数の仕事をしてきましたが、大抵の場合、情報発信(プレスリリースやウェブサイト構築、広告など)については、外部に任せる様子を見てきました。「丸投げ」などと批判する向きもありますが、丸投げ上等です。いや、これって「役割分担」なんですよ。企業や役所の人々はとにかく予算取りと方針の決定だけに注力し、外部の力を使う方がよっぽど良い情報発信ができます。

 

私が文筆業にいるから自分に利益誘導をしてもらいたい、と考えていると思う向きもあるかもしれませんが、結局「餅は餅屋」なんです。私は役所の人ができる事務作業はできません。同様に、役所の人も取材・執筆・編集・撮影等においては素人。だったらプロに任せればいいのでは? と言いたいのです。

中川淳一郎

1973年東京都立川市出身。1997年に博報堂に入社し、CC局(現PR局)に配属される。2001年に退社し無職を経てフリーライターに。以後、雑誌テレビブロスの編集を経て2006年からネットニュース編集者に。2020年8月31日をもって「セミリタイア」をし、11月1日から佐賀県唐津市に引っ越す。2023年2月いったん唐津市を離れ、現在タイ・バンコクにてひっそりと暮らしている。

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